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このコラムでは、これから毎月、エッセイやインタビュー、記事などを掲載していく予定です。
第1回は、翻訳者の斉藤伯好先生からメッセージをいただきました。
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「訳者から一言」
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翻訳者 斉藤伯好 |
3年前に「時の車輪」を訳し始める前、私は約半年をかけて第1部から第7部の原書を読み、編集者と一緒に要約と原文を検討し、原書のイメージを把握して、このイメージをどうしたら読者の皆様にわかりやすく伝えられるかを思案しました。翻訳家としての私のモットーは、常に「読者にわかりやすくて、読者に優しい翻訳をすること」です。
そのためには、まず、訳文の文体をどうするか、訳語をどうするかを決めなくてはなりません。登場人物の名前や口調をどうするかも、訳し始める前に決めておかなくてはなりません。
原書をお読みの皆様はお気づきになったと思いますが、私は編集者のお知恵を借り、例えば「Aes Sedai」を「異能者(アエズ・セダ―イ)」、「the
One Power」を「絶対力」、「the True Source」を「万物源」、「Dragon」を「竜王」などと訳語を工夫しました。「Aes
Sedai」は「魔術師」か「魔法使い」、「the One Power」は「魔術力」か「魔力」か「唯一力」、「the True Source」は「魔力源」か「真実源」などと訳すのが普通でしょう。私たちはその案も検討しましたが、あえて今まで誰も使ったことのない新鮮な訳語を使うことにしました。
これらの訳語を決める前に、私が十数年前に訳したムアコックの「紅衣の公子」(全6巻)や、栗本薫さんの「グイン・サーガ」を熟読しました。
主人公の「アル=ソア」は原文では「Rand」です。これを、なぜ「ランド」としないで「アル=ソア」にしたのか? それは、これを「ランド」とすると、護衛士「ラン」(原文は「Lan」)と紛らわしいからです。英語では「ランド」(「Rand」)は「R」で始まり、「ラン」(「Lan」)は「L」で始まるので、ひとめ見れば区別できますが、日本語では「ランド」と「ラン」はどちらも「ラン」で始まり、ひとめ見ただけでは見分けにくいのです。代わりの案として「ランド」と「護衛士マンドラゴン」にする手もあり、私たちは最後まで迷いました。
「それがしは〜でござる」というアイ―ル人の口調は少し勇み足だったかもしれません。徐々に軌道修正して行くつもりです。
これから、ショーンチャン人も出てきます。この独特な口調をどう訳そうかと、今から悩んでいます。
いいアイデアや、ご感想、ご意見などがありましたら、早川書房編集部気付で、私までお寄せください。
今後とも、ネコ好きのロバート・ジョーダンが創作し、ネコ好きの私が訳す(さらにイラストレイターの加藤俊章先生がネコ好きでしたら、三拍子そろうのですが……加藤先生、いかがですか?)「時の車輪」を、どうかよろしくお願いします。
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